2011年06月17日

『100mSVの被曝と野菜不足・受動喫煙のリスクがほぼ同じ』というデマの横行

以前書いた
放射能汚染ミルク喫煙のリスクと比較しているサイトを検証
の記事が分かりにくい点と、 『100mSVの被曝と野菜不足・受動喫煙のリスクがほぼ同じ』というデマが横行してるので、わかりやすく記事をまとめてみました。

結論から言うと、
受動喫煙のリスクは年間3.8mSV、
野菜不足は年間7.6mSVの被曝に相当、
能動喫煙のリスクは年間76mSVの被曝に相当します


Togetter - 「【続編】菊池誠(kikumaco)さんが被曝健康被害デマについて解説」


放射線被曝が過小評価されてしまっている要因は、累積被曝と、野菜不足、受動喫煙の生涯リスクが同系列に計算されていることです。

まず使用するデータを整理しておきます。
野菜不足(1日の摂取量が1/4)による生涯がんリスク 1.06倍
受動喫煙による生涯がんリスク 1.03倍
能動喫煙による生涯がんリスク 1.6倍
肥満(BMI30〜39.9)による生涯がんリスク 1.22倍
がんのリスク–放射線、ダイオキシンと生活習慣(JPHC Study)

100mSVの被曝による発がん死亡リスク Δ+0.5%
ICRP2007 Pub103

1日1~19本喫煙による癌の生涯死亡リスク 1.7倍(男性1.6/女性1.8倍)
日本人の癌による死亡率 27%
男性の喫煙率 36%
たばこと死亡率との関係について | 現在までの成果 | 多目的コホート研究 | 独立行政法人 国立がん研究センター がん予防・検診研究センター 予防研究部

次に喫煙の発がんのリスクが1.6ですが、生涯死亡リスクがどのくらい上昇しているか計算します。
非喫煙者の死亡率 α
喫煙者の死亡率 β
αx0.64+βx0.36=27 , αx1.6=β
1.216α=27
α=22.2%, β=35.5% 
Δ=+13.3%

25歳から60歳の35年間の喫煙と仮定して 13.3%を35で割れば生涯死亡リスクの上昇分が計算できます。
 
35年間の喫煙による、1年の喫煙による癌の生涯リスク Δ+0.38%
受動喫煙の障害リスクは能動喫煙の1/20。
野菜不足は60年分と仮定すると1/17となりますから

3.8mSV/年の被曝=1年間の受動的喫煙
4.4mSV/年の被曝=野菜不足で1年間生活
76mSV/年の被曝=1年間の能動的喫煙
(肥満を1年あたりで数値化するのは現実的ではないですが(こちらも60年で計算すると)16mSV/年になります)

言い換えると

0.43μSV/時間の被曝が受動喫煙者と同程度。
0.51μSV/時間の被曝が野菜不足の人と同程度。
1.9mSV/年の被曝がBMI30~39.9の肥満であることに相当。
8.7μSV/時間の被曝が毎日1〜19本喫煙した場合と同程度。



最後に、喫煙者のタバコを吸う本数が平均10本でリスクが喫煙本数に比例すると仮定すれば、1μSV/時間の地域にいる子供は、1日1本タバコを吸ってるのと同じということになりますね。

注:普通子供はタバコを吸いません。

他のリスクと同様、100mSVを生涯の放射線量として計算すれば、1年あたり 2mSV未満です。年間、2mSVの放射線よりも野菜不足や受動喫煙の方が有害というのを小細工して約50倍に見えるようにしたマジックがデマとして拡散してしまっているようです。皆さんもご注意ください|・ω・)ノ



blackwingcat at 12:43コメント(6)トラックバック(0) 
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コメント一覧

1. Posted by mao   2011年07月11日 18:49
全部位のデータが使われ、特定部位のデータが使われないのはなぜですか?
http://www.ncc.go.jp/jp/information/pdf/cancer_risk.pdf

喫煙者の「肺」の発ガン4.2〜4.5とあります。
なるべく正しく情報を伝える努力をしてください。

2. Posted by blackwingcat   2011年07月11日 20:28
全部位のデータは肺癌の人も全て含まれます。
データは人数の割り出しに使ってるので、局所的にリスクが高い
のも込み込みなのは良く考えれば分かると思います。
被曝で肺癌以外のリスクも増えるのに全体で比較せず
部分的に比較することこそ、情報操作だと思いますが
3. Posted by mao   2011年07月12日 03:01
お返事ありがとうございます

わざわざ、全体と特定部位に分割してデータが整理されている意味を考えられた方が宜しいかと
http://www.ncc.go.jp/jp/information/pdf/cancer_risk.pdf

 ・放射線に弱い部位
 ・喫煙に弱い部位

甲状腺癌のリスクの高さが、
他の部位の癌のリスクの低さに引っ張られて、
安全なように語られる事が問題です。

弱い部位のリスクに着目し、
そこを軸にして対応をとる事が、
危機への正しい対処です、

例えば、
部品の強度が様々な製品があった、
「部品の耐久温度を平均すると100度」
これは、100度の環境で使える製品でしょうか?

60度の温度にしか耐えられない部品が1個あったら、
この製品の「耐久温度は60度」です。
4. Posted by blackwingcat   2011年07月12日 09:36
なるほど、maoさんがどうしてそのように考えられたかわかりました。

少しわかりやすく説明すると(分かりやすくした値で実際の数値とは違います)

喫煙の肺がんリスクが4倍、全体のリスクが2倍
被曝による肺がんリスクが2.5倍、全体のリスクが2.5倍
常人の発がんによる1万人に対する死亡が 肺がんで10人、全体で50人だとします。

喫煙 で肺がんで死亡するのが40人、全体で100人(肺がん以外では60人)になります。
被曝で肺がんで死亡するのが25人、全体で125人(肺がん以外では100人)になります。

肺がんで死ぬ割合は高くなりますが、死亡率という観点から考えると、
ある部位のリスクが高いから、部品が耐えられないという考え方とちょっと
違うというのが分かると思います。
部品の例だと100%故障時の比較なので。仮にその考え方を適用するとするならば、それぞれの死亡リスクが独立しているということになり、総合の死亡リスクが含まれていないということになります。

さらに、この場合は、対リスクが高いだけなので、
元々の数値が低いと、意味がないものになります

例えば、元々1万人に1人が死亡する症状Aと100人に1人の症状Bがあって、
行為1ではAが5倍、Bが2倍になり、
行為2では両方3倍になるとします。

この場合どちらが死亡する確率が高いかというと
行為2というわけです。
またこの場合、全体の確率が出ているので、その値を採用した方が
より正しい値になります。

maoさんの要望の場合は、この倍率だけを単純比較して、リスクの高低を
述べることになるので、不正確になってしまいます。

この説明でご理解していただけると幸いです
5. Posted by xtreme   2012年08月20日 14:23
年間2mSV未満って数値自体が何のリスクも無いと言う話でしょうw

人間がアリ一匹とネズミ一匹、どちらに殺される確率が高いか?みたいな全く不毛な話だと思いますよw
6. Posted by 池田雅之   2013年04月08日 19:30
はじめまして。
福島県郡山市に住む、池田雅之と申します。

いつも有用な情報ありがとうございます。

私は、最近アメブロで、
福島の放射能情報を伝えるのブログを書きはじめました。

「フクシマンの福島リポート(郡山市)」
http://ameblo.jp/masa219koro/
(アメブロにアドレスから入れない方は、タイトル検索してみて下さい)

現在、ガン死のリスクがどのぐらい上がるのかに関する記事を書いているのですが、

その中で、
ティルさんの、
「100mSVの被曝と野菜不足・受動喫煙のリスクがほぼ同じ』というデマの横行」という記事を、
紹介させていただきたいと思いました。

勝手なお願いで大変申し訳ありませんが、よろしければご許可お願いいたします。

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