2011年03月19日

放射線にもいろいろ種類があるというお話

放射線にもいろいろ種類があるのをご存知ですか?

α線(あるふぁせん)
β線(べーたせん)
γ線(がんません)

ちなみに、X線は γ線の一種で、発生のさせ方が違うだけで、同種の放射線です。



アルファー線は透過力が小さく、ベータ線、γ線とどんどん強くなります。
透過力が強いγ線の方が有害なように聞こえますが、ガンマ線は体を通り抜けてしまうものがほとんどなので、アルファー線やベータ線に比べると、電離作用はきわめて小さいのです。
一方アルファー線、ベータ線は、透過せず、細胞にぶち当たるので、その全運動エネルギーが、遺伝子の変異、破壊などに転移されます。

もう少しわかりやすく説明すると、その理由は粒子の重さにあるとも言えます。
アルファー線はヘリウムの原子核と同じ構造なので、中性子2個陽子2個ときわめて重く、陽子線は陽子1個(水素の原子核)なので約1/4、電子線は 陽子の1840分の1しかありません。

針が貫通した傷と体にめり込んだ大砲の傷どちらがきれいに治るか考えてみてください。


内部被曝についての考察 琉球大学 矢ヶ崎克馬

放射線の影響は、放射線荷重係数によって変化するのですが、電離作用の弱いγ線(X線)とベータ線(電子線)は1,電離作用の強いα線(ヘリウムの原子核)が20、中性子線はエネルギーの強さで5〜20、陽子線が5となっています。
ですから、 X線1Gyは1Svですが、α線1Gyは20Svに相当します。

外部被曝はγ線がほとんどで、一部ベータ線。
内部被曝のほとんどはβ線によるものです。(アルファー線より透過力は大きいものの、透過距離が1〜10cm程度なので、やっぱり体内の電離エネルギーにほとんど変換されてしまう)

東京で検出されたヨウ素やセシウムはβ線やγ線を出しますが、原発で検出された、プルトニウムやウランは中性子線やα線を出します。

一方放射線でガンガーカウンタで検出されているのもγ線がほとんどですが、中性子の放射線強度を別に測定していたのを覚えていますか?

実は、放射線測定で用いられる NaIシンチレーション=カウンター式はγ線しか検出できません。一方、ガイガーカウンタはβ線も測定でき、中性子を測定するものはレムカウンタと呼ばれます。

何か気づきませんか?
そう、原発周辺においてある測定器はほとんどが、 NaIシンチレーション検出器あるいはγ線検出専用の高圧電離箱なので、γ線しか検出できないのです。
一方、福島県の車載で使用していたGMサーベイメータは、β線測定用でγ線の感度があまりよくありません。
*β線を検出できるシンチレーション検出器もありますが、NaI(Tl)シンチレーション検出器と書かれていれば間違いなくγ線検出専用です
*電離箱はキャップをはずすことによってβ線測定可能なものもありますが、ほとんどはγ線の測定に使われます

つまり、実際の放射線はもっと強い可能性がある。ということです。
Σ(・ω・ノ)ノ なんと!

測定装置
福島原発関連情報ミラーサイト - Yahoo! JAPAN

見てみると、ほとんどがNaIシンチレーション検出器と電離箱ですね。
測定器がばらばらなので、測定値がばらばら・・・という可能性もありますが、原発の距離に比例していると限らないのが問題です。
つまり、飛散した放射線物質の量によってん放射線の強さが異なっていると考えるのが自然です。
つまり、距離の割りに高い数値の箇所があるということは、内部被曝の可能性が非常に高いと言うことになります。

以前の記事の海外旅行に飛行機で飛んだ場合浴びる放射線は、3光線の中では、ほとんどがγ線です。
・・・が、それ以外の放射線である、中性子線の量がかなり増えるそうです。
航空機搭乗者の被ばく線量 (09-01-05-11) - ATOMICA -

中性子線の被曝が50%くらいあるとすると、被曝による影響は航空機による被曝は、3倍近くになります。

ただ、完全でない測定値、内部被曝の可能性の高さ。これも総合すると、航空機による海外への脱出の方がはるかにリスクが高いとも言えないことが分かりますね


blackwingcat at 04:43コメント(5)トラックバック(0) 
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コメント一覧

1. Posted by NyaRuRu   2011年03月19日 17:17
> 以前の記事の海外旅行に飛行機で飛んだ場合浴びる放射線は、ほとんどがγ線です。

The high-energy neutrons contribute to about 70% of the neutron effective dose, which in turn represents between 35% and 60% of the total effective dose to aircraft crews, according to recent studies.
 http://adsabs.harvard.edu/abs/2005AIPC..795..211P より

なんて話もありますね.ご参考までに.
2. Posted by blackwingcat   2011年03月19日 19:55
中性子線に関する話が抜けていました。
ありがとうございます。
記事を若干修正しました。
3. Posted by ひるねこ   2011年03月21日 12:18
5 ためになる情報ありがとうございました。
私のブログでもこちらの記事を参照させていただきたいのですがよろしいでしょうか?
ご検討よろしくお願いいたします。
4. Posted by blackwingcat   2011年03月21日 19:17
ひるねこさんこんばんは。

参照はご自由にどうぞ|・ω・)ノ
5. Posted by ひるねこ   2011年03月21日 19:49
5 ありがとうございます。
さっそくUPしたいと思います。

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