2011年03月17日

液体窒素で原発冷やせないの?

『液体窒素で原発を冷やせないのだろうか?』という Tweet を見かけたので、説明しましょう。

理由は蒸発熱と比熱にあります。
物質比熱
(cal/g)
蒸発熱
(cal/g)
沸点(度)密度
15321001
アンモニア1.146284-33.50.61
海水0.94-100.51.02
液体窒素0.24847.5-195.80.808

例えば、比熱0.12 、1500度のジルコニウム10kg にかける場合を考えてみます。

一方 -200度の液体窒素と 10度の水を1リットルずつかけた場合を想定します。

まず、液体窒素と水をかけた場合、
均衡温度をそれぞれ n,h とすると

1)気化した窒素や、水蒸気も冷却に貢献すると仮定

(1500-n)*0.12*10= (n-(-200)+47.5)*0.248*0.808
(1500-h)*0.12*10= (h-10+532)*1

1800-1.2n=0.200384n+49.595
1800-1.2h=h-10+532

1750.4=1.400384n
1278=2.2h

n=約1250度
h=約580度

2)気化した場合に気体が拡散してしまう場合。

(1500-n)*0.12*10= ((-195.8-(-200))+47.5)*0.248*0.808
(1500-h)*0.12*10= ((100-10)+532)*1

1800-1.2n=51.7*0.248*0.808
1800-1.2h=90+532

n=約1491度
h=約980度

ずっと、常温に近い物質を冷却する場合には液体窒素は有効ですが、高温の物質の冷却には向いていないことが分かりますね。

高校の化学で習ったかもしれませんが、水の水酸基が持ってる水素結合の強さが影響しているので、水が蒸発するためには、たくさんのエネルギーが必要なのです。

というわけで、水を使うのが最善でもっとも有効なのです。



blackwingcat at 21:48コメント(8)トラックバック(0) 
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コメント一覧

1. Posted by TAKU   2011年03月18日 00:28
水ってすげえ・・・
2. Posted by ぱんく   2011年03月18日 03:16
俺も液体窒素で強制冷却 ってのは考えたけど、やっぱ無理なのか

3. Posted by blackwingcat   2011年03月18日 11:13
液体窒素使うよりも水の方がはるかに有効なんですね。
でも、投下するなら、融解熱によってさらに潜熱の高い直径1cmくらいにした氷をばらばら投下すれば、水みたいに四散しないし、効果倍増になると思うんですがだめなんですかねぇ
4. Posted by 名前はまだ無い   2011年04月12日 14:46
チェルノブイリ原発事故のときは液体窒素投入で短期間に炉心を冷却することができ石棺で封印することができた、という旨の記事がありますが(http://wiredvision.jp/news/201103/2011033121.html)、
ティルさんの主張ではこの記事の内容は嘘だということでしょうか?

液体窒素を投入できない理由は脆性破壊の危険があるからだと思うのですが・・・
5. Posted by blackwingcat   2011年04月12日 15:55
極低温の疲労破壊は海水投入してる時点で考えてないような気がしますねぇ。
ただ、水の場合、周りに拡散して土壌汚染や海洋汚染の危険もあるので、必ずしも正解だったとは思えません。

まぁ、私の仮説ですからそういう事例があっても嘘と言う意味ではなく、ここで液体窒素を使用したのは、内陸で水よりも、空気中から分流して作る液体窒素を作るプラントがあり、すぐ準備できたからだと思います。

冷却効率は水の方がはるかにいいので、水資源が豊富に近くにあればチェルノブイリでも水を使用したかもしれませんね。
6. Posted by 名前はまだ無い   2011年04月12日 23:41
丁寧な回答どうも有り難うございます。

反論するようで心苦しいのですが、正しい情報として一応書いておきたいことがあります。
原発の基礎知識ですが、原発を運転するには大量の冷却水が必要ですので、原発は必ず海か川の近くに建設されます。
このことはチェルノブイリ原発でも例外ではありません。http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:ChernobylMIR.jpg

大量の水が近くにあったにもかかわらず、わざわざ液体窒素を使った、というのが事実のようです。
7. Posted by blackwingcat   2011年04月13日 01:15
ありがとうございます。

汚水の拡散による土壌・水質汚染を考慮したというのが考えられますが。
もうひとつ仮説を立ててみました。
それは、極低温まで下げて反応の進行自体を確実にとめてしまう目的だったので、冷却効率よりも、低温に下げることが目的だったということです。

冷温状態ではやはり進行は進むため発熱は避けられません。
これを一気に下げることで実行しようとしたのではないかなと思います。

個人的な推論に過ぎませんがいかがでしょうか。
8. Posted by モンブラン万年筆   2013年04月25日 13:21
ティルさんの気まぐれ日記 Season II:液体窒素で原発冷やせないの?

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